萌木の村 村民かわら版

八ヶ岳・清里高原「萌木の村」のスタッフが綴る季節ごとの村の表情や、個性あふれる各店舗のあれこれです。
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マンスリー上次さん 2月号

joji.jpg いま萌木の村は、一人の清里出身の若者・浅川智仁さんと一緒に研修会をスタートさせました。

 私は35才の時、自分が育った清里農村センター(現在のKEEP協会)の事で、時のリーダーの方に「ポール先生の“志”と違う方向に進んでいる」と苦言を言ったことがあります。その時、逆にその方に言われました。「強い個性を持ったワンマンリーダーが引っぱってきた組織は、そのリーダーに頼りすぎて、次のリーダーが育たないことが多い。あなたもそうならないように気をつけなさい」と。いま、その言葉が身にしみます。 

萌木の村は私が23歳の時、小さなお店「ロック」が出発点です。世の中のルールも知らずガムシャラに朝から晩まで働きました。そして少しづつお客様が増え一緒に働いてくれる仲間も増えました。私もスタッフもよく働き、その日その日は充実していました。みんなのパワーが結集しお店は個人から会社へと育ちました。しかし、スタッフも現場主義で経営とか経理は結果オーライ。自分の身の回りしか見えなかったでしょう。そして引っぱってきた私はパイオニアとしての実績が回りから認められるので、実力がついたと自分自身が過信してしまいました。また、私についてきた幹部スタッフは真面目で一生懸命やる人達が残ってくれたのですが、社長の私がマネージメントの勉強などしていないわけですから、会計は地元の会計士の先生にまかせっきり、経営を数字として分析することもなく、勘でやっておりました。一緒に働いてくれているスタッフだって私がそうなのですから、私を見てこれが経営なんだと思ってしまったと思います。組織が大きくなり、私たちもそれなりに育たなければいけなかったのですが、マネジメントという点ではほとんど成長しておりませんでした。

何故現在、清里が厳しい状況をむかえているのか、何故 萌木の村が今生まれ変わらなければならないのか、それは次の世代を育ててこなかったからだと私は反省しています。私は40年も先頭に立ち、弟を始め仲間のスタッフはずっと私の夢を実現する為に行動してきました。私の出す指示の中には納得できない、理解できない事や物もあるでしょう。その時は小さな不満でも、30年も40年もコツコツと貯まればスタッフの心の中の不満のコップは満杯です。あと一滴ですべてがこぼれてしまう。松下幸之助さんやソニーの盛田昭夫さんのような完璧に近い人はほんの少しはいるでしょうが、多くは私のような凡人です。夢や理想と現実が異なる場合には妥協していく訳です。その食い違いを自分ですら納得するのに苦しむ訳ですから、一緒に仕事をしてくれている仲間はもっと納得できないでしょう。大きな組織だってそのような問題は無い訳ではありませんが、人事異動というガス抜きがあり、また経営学を学んだ人事管理のできる人が対応し、人間関係を「ゴハサンに願いましては」と振り出しに戻す事ができるのでしょう。また萌木の村のような中小企業は何々研究所とか何々コンサルタントとかから経営指導を受け打開しようとしますが、ワンマンで40年も続けて来た私共のような組織には欠点、弱点も有りますが、その反面大きな会社や組織に負けない独特な宝物がいっぱいあるのです。一般的なビジネスモデルとは違うために、人の輪・歴史・地域性などを活かし、一段高いところへステップアップさせるのは至難の業なのです。何代もつづいている老舗といわれているような企業は、次のトップになる後継者を育てます。たとえば地方のホテルは東京のホテル オークラで。代々お客様に喜ばれている小さな旅館は金沢の加賀屋さんで勉強させる、という具合に、次にたすきを渡す準備をしています。清里は開拓70年の歴史、私達の先輩の中にも経営者としての知識を持った方は思い当たりません。私が見てきた先輩達はみな現場で汗を流している人達ばかりでした。私はその事が決して悪いと言っているのではありません。汗して労働する事はすばらしい事ですし、人のお役にたてることは素晴らしいことです。萌木の村の中にもそんなスタッフが何人かいます。私はいつも頭が下ります。その人達がむくわれる為にも“志”高くこの歴史を生かしてマネジメントできるリーダーを育てる必要があるのです。 

私が萌木の村を新しく生まれ変わらせたいのはこのような理由からです。若いスタッフがこの萌木の村で何のために働くのか、同世代で故郷「清里」を愛する浅川智仁さんと一緒に厚く語り合ってほしいのです。私も少しでも変わりたいと思いますし、今の私の役割は何なのかを探すためにも一緒に語り合いあいます。まずは人間力アップ! ポール先生がKEEPを支えてくれる人や訪ねて下さる人に心から感謝したあの気持ち。その人達にいつも先生が伝えた「Do Your Best and it must be First class!」。First classを勝ち取るために必要な技術や知識を研修し学ぶ集団でありたいのです。萌木の村の若者達が新しいイノベーションを起こす時を私は楽しみにしています。

平成23年2月1日
萌木の村村長 舩木上次
上次さんの気持ち
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