萌木の村 村民かわら版

八ヶ岳・清里高原「萌木の村」のスタッフが綴る季節ごとの村の表情や、個性あふれる各店舗のあれこれです。
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マンスリー上次さん 1月号

 新年明けましておめでとうございます。

 私は、今年はどんな年になるのかと聞かれたら、「新しい時代の幕明けの第一歩のスタートの年」と答えます。

 萌木の村は、私がロックを開店して40年を過ぎました。その40年は本当にいろいろの事がありました。リゾートブームがあり、清里は一時期とんでもない開発が行なわれました。そしてブームが去り、仲間が一人二人と清里を出ていきました。何故そうなってしまったのか。私は、私達が先の目標が見えないまま、自分勝手に乱開発をしてきたと思います。その自分よがりの考え方・行動が今の結果です。その中で多くの仲間や物を失いました。私達は悩みや苦しみを味わいました。そして、そんな辛い経験の中から新しい価値観や目標が見えてきました。私達が失敗したものは、建物を造り、商売をしてきた物ばかりです。でも、今自分の周りを見わたすと、美しい自然景観は変わることなく、今も私達を見守ってくれていました。私達は錯覚していました。我々人間の造物の方が神のつくった自然よりも勝っていると思った事でした。今私は、その神につくられた八ケ岳の大地で神を畏れ、神を敬い、その大地を生かしながら、新しい価値を生み出す仕事をする為の基礎づくりのスタートの年にする事を始めました。それは偶然とかブームではなく、必然の清里づくり、萌木の村づくりです。その為には、ハードとソフトが大車輪として必要です。この地が大好きで、感受性が強く、何か一つのものを持っている人その人達とチームを作り、必然の“物”“事”づくりを始めます。

 これから私がやる一つ一つの事は、すべて意味がある事です。すべての物事には、必ず何故という理由がある事をしていきます。結果として、10年後の萌木の村は、世界の中でここだけの個性のある場所になります。

 私は今、その時のことを考え、毎日毎日ワクワクして生きています。萌木の村に来られる時は、どうか10年後100年後の夢を想像して下さい。二度と失敗しない為には、皆さんの支えと指導が必要です。どうか一緒に歩んで下さい。いつか天国のポール先生に、「やっと解ったか、私の教えが」と言われる事を願い、1月1日の「マンスリー上次」と致します。
上次さんの気持ち
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マンスリー上次さん 12月号

 選挙のこの時、いろいろと考えさせられます。
私は最近「ああ、そういう事か」と思う事があります。
実はこの国のリーダーと言われている人たちの中に、全部とは言いませんが「日本」という事に軸足を置いていない考え方をする人が増えているのではないでしょうか。例えば、私などは清里以外での生き方・生活など考えた事はありません。ブームが去ろうがこの地以外で、などと考えた事もありません。
私は【清里人】です。だからこの地にこだわります。しかし、この国の政財界のリーダーの方々はグローバルに考えるようになってきました。その事は決して悪い事ではありませんが、この国の事を考えるリーダーではありません。
私の友人の中にも、子供はアメリカに留学。フランスに、スイスに、そして仕事は世界企業へ、という人たちがたくさん増えてきました。本人も老後はスペインで、ニュージーランドで、又は子供がいるアメリカで、という考え方をもった人が大勢おります。そして日本が外国から遅れをとっても、リーダー層の人たちの中にそのような人たちが増えてきているという事です。
アメリカに留学した子供たちが本物の自由という事を学び、責任と義務を果たせば、自分の実力で生きて行ける事を知ったら、それに挑戦出来る優秀な人は、日本に帰って来ますか?しがらみ、年功序列等々。日本は民主主義という制度の中でリーダーを選びます。90%以上の私たちのように、この国の、田舎でしか生きていけないのいう人たちの多くが、この国の将来と今に不安をもっています。
でもこの国以外でも生活が出来るという選択肢をもっている人たちは、その人が悪いという事ではありませんが、真剣にこの国の事を考えますか?
本来、この国の事を考える優秀な人たちがこの国のリーダーでなければいけないのに、田舎に住む現場の一般の人たちがこの国の将来に不安をもち、答えを見つけられない事に心配をしているという現象が、この国の不幸です。
問題を解決するという事は、問題意識を持っている、その事を解決する能力を持っているという事が大事です。でも、問題を解決出来る能力を持っている人がこの国の問題を解決する前に、別の選択肢を選んでしまうというこの現実。だから、選挙の時だけ、90%のこの国でしか生きられない我々と同じ問題意識を持っているような事を言います。しかし本当に強い思いで言っているのではない為に、問題を先送りばかりしてしまいます。
日本の中だって同じです。地方の時代だと言っているのですが、全国の例えばリーダー・知事さんの子供たちは、その県に残って生活していますか?リーダーの資質は人間性・知識・創造性など必要なものがあります。誰でもリーダーになれるわけではありません。そのような能力をもって人間が皆都会に行ってしまうとしたら、田舎は、地方は、残された中で「消去法」で指導者を選ばなければなりません。今、本当にこの国生きる・この地に生きるという、強い考えをもつ優秀な人材が、リーダーとして求められているのだと思います。
人は生まれて来た時から個性を持っています。能力も違います。そしてそれぞれの生きて来た役割があります。その役割を自分も他人も認め合い全うして、一つの目的を達成する事が、生まれてきた私たちの大事な責任であると同時に、生き甲斐であるのだと思うのです。

 私は思うのです。
こんな時代だからこそ、新たな創造が生み出される時代だと。こんな時だからこそ、本質を探す事が出来ると。
苦しい中だから、難しい時だから、私たちは今、実力をつけさせてもらっていると思うのです。

 今、萌木の村はとってもおもしろい所に変わりつつあります。何故かというと、今まで自分たちの中では普通だと思ってやってきた事が、実はここでしか出来ない、この人でしか出来ない、という事がわかってきたからです。オルガンビルダーの脇田直紀さん。フィールドバレエの舞台づくりのプロフェッショナル・小林雅之さん。ビール職人・中村和彦さん。バーテンダー・久保田勇さん。オルゴール館でピアノ演奏をされている平澤真希さん。成尾亜矢子さん。萌木の村の環境計画をすすめられているポール・スミザーさん。薪づくりの名人・輿水章一さん。
今まで普通にしていた皆さんが、実は他の誰にも出来ない技術とセンスをもっているプロフェッショナルある事に気づいたのです。そんな一人一人がそれぞれの得意な事を追求して、その人たちの力で新しい萌木の村を創ろうと考えるようになりました。
萌木の村のフィールドバレエでも、新たな挑戦のアイデアが生まれ始めました。来年のフィールドバレエは、今まで皆さんが考えていたものとは全く違う、清里だけの新しい提案をする事が出来ると思います。
それぞれのスタッフは、気がついたらとってもすごい実力を身につけていました。多くの場合、夢や発想があっても技術や体力がついていかず、出来ない事が多かったように思います。しかし私たちは清里という自然の中で鍛えられ、生きてきました。だから、皆骨太の技術と体力の持ち主ばかりです。
その人たちの役割を生かし新しい作品を今創ろうと思っています。今の時代はすぐに結果を出そうとしますが、私たちはコツコツと時間をかけ、3年、5年、10年と長いスパンで作品を作っていきます。その一歩をスタートしました。私たちには10年後のその姿が今見え始めています。皆さんには今私たちが日々やっている事はわかりにくいかも知れませんが、何が変わるか、どんな物が出来るか、想像して下さい。

 今の日本、皆夢を見つけにくい時代だと思いますが、夢は一長一短に出来る物ではありません。私達がコツコツやってきた事に神様がご褒美として、「夢」を与えてくれたのだと思います。
今私は毎日、明日が来るのが楽しくてしかたありません。10年後、3650日後に一日一日近づいているからです。これが【開拓】なんだろうなと思います。やっと先人たち開拓者の気持ちが、ほんの少しわかる自分がいる事に気がつきました。
この冬、お出かけください。そして私の「夢」を聞いて下さい。もしかしたら、一緒に夢を創る仲間になっていただけるかも知れません。
上次さんの気持ち
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マンスリー上次さん 11月号

 私は今回バレエシャンブルウエストの『くるみ割り人形』公演プログラムのごあいさつに、こんな事を書かせていただきました。

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バレエシャンブルウエスト第68回定期公演
12月22日(土)~24日(月)
『くるみ割り人形』(全幕) ごあいさつ
人類の誕生は約500万年前といわれております。その時から命の「たすき」が引き継がれて今私達はここで生きています。不思議ですね。何故私が今ここに居られるのか、この時代に生きていられるのか、何故日本に生まれたのか。
 私は皆さんに出会う事が出来て、今日のこの舞台を皆さんと観る事が出来ました。生れてきて今、命があるという事の幸せをいま一度一人一人が再認識したいものです。人は生れてきて、出会った人や、環境によって大きく生き方が変ってきます。そして人にはそれぞれの役割があります。バレエという事は、努力した人にのみ神さまが与えてくれた素晴らしいお仕事だと思います。ダンサー達の今日までの努力が、客席の私達に感動と勇気を与えてくれる事を信じています。
 人類という生命体は、高い知性を持ったが為に自らを危機にさらしてしまいました。こんな時代だからこそ、今日のバレエ公演のような芸術活動が必要なのです。心を豊かにする事が未来を開いていくのです。そんな素敵な事に、私も皆さんも少しだけ関われる事に感謝致します。

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人生には運命的な出会いがあります。節目節目に出会った人によって人生は大きく変わります。どういう事かというと価値観が育てられるという事だと思うのです。
私の場合にはポール先生の作ったKEEP協会の中で生れ、そこでポール先生に出会えたその元で働く輝けるスタッフ共に幼少の頃同じ空気をすっていたという大きな運命的な出会い、仕事を始める時に設計の永坂先生というすばらしい人との出会い、そして妻との出会い、今村先生・川口先生との出会いなど数え上げたら、次から次に、すべて今の私のしている事につながっております。今私はスタッフ一人一人にとって、私が彼等にとって良い出会いであったと言われるような役割になりたいと思うのです。その為にどう自分を磨くか、行動するか、考えるかその時の原点はやはり清里ポール先生、、、

皆に愛される
 愛、優しさ、厳しさ、夢、希望、笑顔、感謝、祈り
ポール先生は失敗もしました。しかし、先生の一番すばらしい事は十字架に向って一日一回自分の今日してきた仕事は神さまにささげる仕事として間違っていなかったかと反省した事だと、ポール先生に深く関った方から教えられました。
人生を積むという事は、失敗、間違った事もたくさん積み上げてきたという事だと思います。残りの時間、これからの私のやる事は、より間違いの少ない事をしたいと強く思う今日この頃です。
上次さんの気持ち
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マンスリー上次さん 10月号

 何故、先人たちは今と違い機械も電気も無い時代(と言っても私が言っているのは75年前清里に入植した人たちの事)この厳寒の地に体一つで、ほんの少しの道具で、松とクマザサに覆われた大地と戦いながら、開拓をする事が出来たのだろう。すごい人間力だとつくづく思う。今私が思う事は、その人たちがやってきた事に私は魅力を感じる。私が子供の頃のこの高原はものすごく美しかった。何故あんなにもきれいだったのだろうか。人間の力でコツコツ作り上げた物は美しい。世の中は今、画一化してやたらと便利にして大量に作り、安くする。どこへ行っても全て同じ、でもそれは何か違うような気がしてならない。
今私は「清里だけ」「萌木の村だけ」の物を作りたいと思っている。私が40年作ってきた物を背負いながら、私たちが作る物をつけ加えて未来に財産として残る「物」を作りたくて仕方が無い。

【都市は人間が作った物、田舎は神様が作った物】

神様が作った物にほんの少し手を加えさせてもらい、新しい魅力ある物を作りたいと思う。
今回の震災でも人間が災害をコントロール出来ると思い上がった事から大きな被害をもたらしたように思える。人間は本当に愚かなものです。歴史を顧みれば、その愚かさが分かります。ほんの少しだけ、他の生命体に比べて脳が働いたが為、思い上がってしまったのだろう。自然でなければ、必然でなければいけない。なのに日々の営みと我々人間だけの都合に合わせようとしてしまった・・・。

我々はほんの少し、元に戻すという事を考えるべきではないのか。その中で我々人間は質を上げていき、喜びとか感動を覚える、そんな生き方を求めて行く事が大事なのではないだろうか。

我々人間は他の生き物とは違い「知恵」を持ってしまった。我々にはこの知恵を正しく生かすという責任がある。素敵な知恵を使えるよう、人間磨きをしていきたいと思う。
上次さんの気持ち
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マンスリー上次さん 9月号

 私達は8月24日・25日・26日と、今年3回目のポールラッシュ・ドリームプロジェクトで石巻、気仙沼、陸前高田に行って来ました。そんな旅の中で、ある人がこんな事を言いました。「都会は人が造り、田舎は神様が造ってくれた。神様が造ってくれた田舎に経済性を求めて人々が手を入れ始めた事が、今回のような大きな被害につながったのかも知れない。」本当に田舎は神様が造られたもの。良く見ると良く出来ている。森が、川が、春夏秋冬が、私達に次から次に恵みを与えてくれる。何かの出来事は必ず偶然ではなく必然だと思います。人間が思い上がり自分勝手になった時、神様を警告を発してくれます。その時素直に反省すればあよいのに神をも恐れない人間が時として自分の都合で自然すら抑えられると思ってしまう。確かに一時的には抑える事も出来てしまう。だからまたまた自信を持ってエスカレートして行く。原発の問題だってそう。

 今私は萌木の村の中の【自然】を変えています。いや、変えているのではなく元に戻しているのかも知れません。そしてほんの少し私の都合をお願いしていると言ったら、正しいのかも知れないですね。
私は一番清里らしい「ここだけ」という萌木の村を作りたいと思っています。これから秋・冬、私はその作業を現場に入り、私の友人の章一さんとやって行きます。
今まで迷っていた事が確信に変わりました。
東北地方の再建についても、現在多くの意見で計画が進められています。横浜国立大学名誉教授の宮脇昭先生の提案『神様が造った田舎』に一番合っていると私は思います(ここで説明するには長くなるので皆様で調べて下さい)。神様に一番近い考えを持っていると思いました。そしてその考えとは対照的に思い上がった利権と経済性だけを追求する再建案が持ち上がって来ています。そして「欲」という物差しで物事を考える人は、それも又良しと思っているようです。実は私自身も自分の中に二つの自分が居ます。いや、居ました。しかし今、確信を持てるようになってからはもう一人の私はいなくなった気がします。

 これから神様と一緒に萌木の村づくりをする事が出来る季節。心がワクワクします。でも一日一日の作業はコツコツと。
皆さん、フィールドバレエを今年も支えて下さり、本当にありがとうございました。第24回の準備も始まりましたが、今回の公演の反省をしっかりして、新しいフィールドバレをまた提案したいと思っています。
上次さんの気持ち
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清里フィールドバレエ 23rd.を終えて

清里フィールドバレエ実行委員長・舩木上次より皆様へメッセージをお送りします。
上次さんの気持ち
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マンスリー上次さん 8月号

 今年も清里フィールドバレエが始まります。
23回目、本当にここまで続き、年を追うごとに進化して新しい感動が、それぞれの時に生まれました。今年もまた新たな物語が生まれそうな、そんな期待で今私は胸が高ぶっています。
清里フィールドバレエの歴史の中で初めて17才の女性が主役を努めます。その女性は佐々木万璃子さん。15才でローザンヌバレエコンクール3位に入賞(女性で最高位)した方です。イギリスに留学して2年、清里フィールドバレエでその姿を見せてくれます。清里フィールドバレエが彼女を育てたと言っても過言ではないと思います。子供の頃から何かを持っている、そんな輝きをいつも私は感じていました。いつか日本を代表する一人になる彼女の第一歩を、私達は見る事が出来るのです。その舞台に私達は関わっていられるのです。なんと幸せな事か。
オリンピックでもそうですが、ヒーローが誕生するというのは新しい時代の幕が開かれる時です。その時、私達の役割も変わります。その自分自身の役割は何なのか?最近いつも私はその事を考えるようになりました。
3月11日の震災から日本の価値観は大きく変わったと私は思うのです。一人一人、この世に命を与えられた人達が、たった一度の人生の中で「生まれてきて良かった、そして貴方が居てくれて良かった」と思える"役割"を手に入れる事が出来たら、それは人生の勝利者になれるのではないでしょうか。
今、私達はその事を実感しています。今年は会場の整備・舞台作り、全てがハードな作業でした。関わった一人一人が全力を出し切り、ここまで来ました。ダンサーたちも、この舞台に立つに相応しい練習を重ねてきました。舞台を支える裏方そして舞台に立つダンサー、それらの人達を守るもう一つの裏方・・・日々の食事を作るお母さんたち、バスの運転手さん、今日からこの2時間の本番の舞台の為に、100人を超える人達が、一つの思いで動き出します。『この舞台を見てもらいたい』。見に来て下さる皆様がいるから、続けられる事が出来ます。
本日、被災地・石巻から子供たちが、スタッフと共にこのフィールドバレエを見に来て下さいます。笑顔を感動を勇気を持って帰ってもらいたい。そうしたら、本当に私達は幸せ者だと思います。

会場で貴方にお会い出来るのを、楽しみにしております。
上次さんの気持ち
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マンスリー上次さん 7月号

 清里フィールドバレエの準備が始まっています。毎年毎年繰り返し、準備すること23回目。39才の時に始めた私も63才、「あっ」という間の23年間。この23年間で、私にとって大事な多くの人達が亡くなっていきました。
何故こんな時に「死」について書くかというと、生と死は全ての人に与えられた権利であり、どう死んでいくかという事が問われるという話を、先日私にとってとても大きな師と慕う人と尊敬する友人と長い時間話し合ったからです。86才、64才、63才、誰も自分の残り時間は分かりません。野に咲く草花も木々も、春に芽吹き秋には散っていきます。私達3人に共通していたのは、死後は木の葉のごとく、静かに自然に帰りたい・・・という事でした。だから生かされている時は一日、一時間、一分を大事にし、愉快でありたい。人には迷惑をかけたくない。生きている間に友と居る時間をたくさん作りたい、などなどでした。
帰って来て、一人になって考えました。私にとって今、愉快な事とは何だ?今回そして昨年と二度にわたって行って来た東北の被災地での「ポール・ラッシュ・ドリーム・プロジェクト」は、私にも仲間にも、そして観て聴いてくださった方々にとっても充実した時間でした。私にとっては大きな宝物の一つとなる時間でした。そしてこれから始まる『清里フィールドバレエ』23回目の舞台は、私にとっても一緒にやってきた仲間たちにとっても、23回積み重ねて来た思い出の上に乗っている出来事なのです。
しかし、私にはとても重い事であっても、皆にそれを求めてはいけないのだと思うのです。過去の苦労話の上にではなく、今回一回、初めて観る人達にも感動してもらう舞台を作る、またその事に関わり、その緊張感が私には一つの「今、生きている事の愉快な事」だと思うのです。その為に、自分の仕事としての萌木の村があるような気がするのです。
そして今回はわくわくするのです。私は若い人達が努力して努力して、このフィールドバレエの舞台で主役が誕生した時、やたらと嬉しいのです!吉本泰久さんが主役を舞った時、吉本真由美さんが主役になった時、逸見智彦さんが、橋本直美さんが、松村里沙さんが、最近では染谷野委君が、土方一生君が、山田美友さんが。皆、日本のバレエ界の財産です!そして今回、佐々木万璃子さんが17才でデビューする事となり、その話を耳にした瞬間からわくわくしているのです。若者が飛び立つ、その節目の大事な時に、同じ空気を共有できるという事が、どうも私にとっては最高の部類に入る"愉快な事"のようです。
17才の女の子が、並みいるスターダンサー達の中でど真ん中で踊る、そのプレッシャーたるや私達の想像をはるかに超えるものだと思います。ダンサー、バレリーナ達は仲間であり互いにライバルです。それぞれ一人一人が心の葛藤を乗り越えて、舞台に立った瞬間から与えられた役になりきって、一つの作品の為に皆がその責任を果たします。私には、どうもそんな時が、『私の宝物』なのだと思います。

 今私がやっている事は、自分が見る事の出来ない未来の夢の為の基礎作り、その一歩でありたいと思うのです。こんな気持ちを持ちながら、見えないゴールに向かいたいと思っています。最近では、自分が小さな人間で良かった、そしてそんな自分だからこそ、みんなが助けてくれるんだと思えるのです。そしてそれに甘えてしまう自分、きっと【死】というゴールまで、そんな自分のままなのでしょう。
上次さんの気持ち
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マンスリー上次さん 6月号

  私は先月5月14日から出発して5月26日まで東北(福島、宮城、岩手)そして急きょ竜巻の被害にあったつくば市(茨城県)に、昨年に引き続き笑顔と元気を届けたい、そして「忘れない」という思いで小学校や幼稚園と中心に17カ所で公演を行ってきました。現地で面倒をみて下さった多くの方々、福島民友新聞社の田中博之さん、丸森町前町長の渡辺政巳さん、岩手の阿部智子さん、皆やたらとパワフル!そして元気!
 一昨日(5/30)前の観光庁長官の溝畑宏さん達と食事をしました。私との共通点は、元大分県知事・平松守彦さんにお互い可愛がってもらった事。この長官、話には聞いていたが「夢追い人」。明るい、やり続ける。そして昨日、「NPO法人柔道教育ソリダリティー」の第12回講演会・交流会でお会いし、お話を聞きました。6月22日に私が六本木ヒルズで対談する山下泰裕さんもやっぱり「夢追い人」。明るい、楽観論者、そしてもう一つ共通のワードは"感謝"。
その会には細川佳代子さんも来ておられ、3人で話が盛り上がり、笑いが時々、でも話の内容はすこぶる真面目。女性ではこの人をおいて他に、こんなパワーを持っている日本人はいないのではないかと思われる位、明るくてパワフル。
 最近、私の知人・友人の中で成功している人の共通項は、
・明るい
・泣き言を言わない
・グチをこぼさない
・人に対して感謝の気持ちが強い
・はっきりとものを言う
・素直
さて、私は私の知人・友人達からどう見られているのだろうか?
暗い、泣き言ばかり、グチばかり、無責任で人のせいにする、仕事とお金のことばかりで損得しか考えていない、全て自分がやっているという思い上がり、はっきりものを言うがトゲがある、、、、。
醜いですね。もしそう思える時があったら、教えて下さい。私の周りの魅力的な人達のように、スケールは大きくなくとも"私なりに"生きていたいのです。それにはチェックが必要です。気がついたら63才。自分では若いつもりでいたのに、集まった人達の中で最年長だったなどという事が時々あります。本当に醜い自分にうち勝って、素敵な「舩木上次」でありたいと思うのです。何故そうなりたいかと言うと、萌木の村をもっともっと魅力的にしたいからです。素敵な、尊敬されるリーダーにならなければ、ポール・ラッシュ先生が言われた「素敵なコミュニティ」は作れません。
・仕事はテキパキ
・ホスピタリティーは何気なく
・そしてセンスよく
・感謝を忘れず
そんなまとまりある萌木の村を作りたいのです。
皆さん、もっともっと、叱咤・注意をして下さい。萌木の村を輝かせる事により、清里に希望を持たせ、ここを世界一の場所にしたいのです。住んでいる人達が「こんな素晴らしい場所に住めている」と地域に感謝し、先人達・開拓者を尊敬するふるさとにしたいのです。
そして私達は誇り高き『清里人』になりたいのです。

※6月22日は皆さんも参加できます。私の素敵な友人を紹介します。楽しいひとときを一緒に作りませんか?
お問い合わせは、萌木の村事務所・担当:姜(きょう)TEL0551-48-3522まで
上次さんの気持ち
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マンスリー上次さん 5月号

 人の生き方は時代と場所によって、考える基本は同じであっても表現方法は違ってきます。私はこの時代、この清里でしてきた事が正しかったのだろうか?実はここ数年で私の価値観は相当自分の中ではっきりしてきたように思えます。その結果、自分がしてきた事の間違いにも気づく事になってしまいました。これからの自分の仕事は、その間違いを正しい答えへと書き直していく事だと思っています。
先日もポール・ラッシュ記念館に行ってきたら、若かりし頃のポール先生が若者達に囲まれ、また美人の女性に肩に手を回してもらっている写真に出会いました。それぞれの写真にポール先生の笑顔が。仕事には厳しく、いつでも新しいチャレンジをし、若者達に夢を与え、感動を与え続けたその結果の"満面の笑顔"、最高ですね。
ポール先生は「何を目指し、何をすべきか」という事を言い続けてきたのに、その事を40年もの間、私達は忘れてきてしまったような気がします。分かっているつもりでいたのですが、本質から逃げていたのだと思います。何故かと言うと、ポール先生の答えは「人々の為に、自分には厳しく前へ進み続ける事」だからです。
経済成長が前へ進む事と勘違いし、知的にも感性的にも、自分に厳しく自分磨きする事を怠ってきてしまいました。清里の昨今の厳しい経済環境の中で、前へ進むのではなく、後ろへ下がって生きてきてしまいました。"私の初心は何だったのか?"その時には意識はしていなくても、ポール先生の心が分かっていたのに、歳とともに自分自身を映す鏡はだいぶ曇ってきていました。
 そんな自分に気がついた私は、今年ホテルの改装をしました。3年前にも手を入れ、その結果もまだ出ていない時だけに、そこに新たな設備投資をする事に賛否はありましたが、一人のスタッフの想いと私の目指す方向が一致した事で、前へ進むことが出来ました。
新しくなったホテルのバーの壁に、一枚の写真があります。ポール先生がサントリーの角のオンザロックを飲んでいる写真です。晩年お医者さんからアルコールを止められている先生のところへ行くと、私に「グラス、グラス」とせがむ先生。勿論私は隠れてサントリー角瓶のオンザロックを一杯持っていきます。あの時の美味しそうに飲む先生の事が、昨日の事のように思い出されます。
またオルゴール館「ホール・オブ・ホールズ」は開館当時の賑わいはなく、残念なことに清里のもう一つの代表的な博物館の「北澤美術館」(アール・ヌーヴォー、アール・デコのガラス)も今年3月で閉まる事となりました。私は、ずっとこのままでは続けられないと数年前から悩んでおりました。
そんな時、二人のピアニストと出会い、一台一台のオルゴールに再び命が吹き込まれました。この形態は、世界でも初めてだと思います。オルゴールの事、曲の事、時代の事の解説、そしてオルゴールの演奏と素敵なピアノの演奏。どんなに食材が良くても、料理人の腕が良くなければ感動の料理にはなりません。ホール・オブ・ホールズはオルゴールという素材を素敵なあピアニストという料理人によって三ツ星レストランの作品を作り始めました。
 私のしている事は、まだまだ中途半端な事ばかりですが、一つ一つ質を上げ、日本一のビール、野外バレエ、世界のどこにも無い萌木の村の素材一つ一つを生かして、『ザ・萌木の村』という作品を作るために、それぞれの食材の仕込みをしていきます。
この時代、この清里でしか出来ない物を求めて・・・。

【お知らせ】
・5月14日に清里を出発して26日まで、『ポール・ラッシュ・ドリーム・プロジェクト2012』で東北に行ってきます。
 http://www.moeginomura.co.jp/PRDP/index.html
・6月22日 柔道家としても人間としても世界の金メダルの山下泰裕さんと六本木ヒルズで対談&パーティーを計画しています。

【お願い】
・皆様のお手元にバカラやラリックといったかっこいい素敵なグラスが眠っているようでしたら、リニューアルしたハット・ウォールデンのバーに寄付して下さい。お願いいたします。
上次さんの気持ち
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