萌木の村 村民かわら版

八ヶ岳・清里高原「萌木の村」のスタッフが綴る季節ごとの村の表情や、個性あふれる各店舗のあれこれです。
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マンスリー上次さん 3月号

joji2015.png 最近思う事・・・額に汗して働く事よりも知恵を使って楽しく生きる事のほうが正しいと思われる社会になってきてはいないでしょうか。本当にそれで良いのでしょうか。義務と責任の無い権利主張や言った者勝ちと思われるような出来事が多い気がします。そんな中でNHK朝の連続ドラマ“マッサン”は朝の道徳教育のような気がしてなりません。

 最近自分の目の前に起る事に対して、判断したり選択したりする自分の基準はどこからきているのかと考える事があります。何故この事を選んだのか、何故そう選択したのか。それはすべて過去の私の経験、体験、知識から判断している事に気がつきました。生まれてこのかた出会った父母を始めとする多くの人達、その影響は非常に大きいでしょう。そして生れ育った場所も大きな要因です。私は清里農村センター、今のKEEP協会で生まれ育ちました。ポール先生の考えを実践する為の施設で、その中のひとつ・実験農場で育ちました。子供の時から豚、羊、牛、鶏、トラクターなどに接しながら育ったのです。更にその時代の影響も大きく受けているでしょう。今と比べたら信じられない程の貧しさ。でもその時はみんなが貧しいので特別とは思っていませんでした。バナナを食べたのはきっと7歳か8歳ころだと思います。それも5mm位に切って1本のバナナをみんなで分けて食べました。初めて食べたバナナの美味しさは忘れられません。病気になった時、お見舞いにもらったミカンの缶詰の美味しいこと。私は小学校5年の時、一年以上も病気で入院生活をしました。その為一年落第しているのです。高校入試も失敗しています。そんな自分の人生の中での環境や起きたことすべてが、今の自分の考え方の物差しになっているのです。

 私にとってとても恵まれていたと思われるのは、私が生まれた時代がまさに、ポール・ラッシュ先生が理想のモデル事業を作り上げている真最中だったということです。情熱にあふれたポール先生の姿を目の当たりに見て育った事は、その後の私の考え方の基準に大きく影響しています。希望に燃えたポール先生。それを支え作り上げていこうとする集団の熱き思い。壁を一つ一つ乗り越えてそのたびに感動している姿。全員がチャレンジャーでした。私はそんな時代、場所、人に出会わなかったら今の自分にはなっていなかったと思います。

 私の中で最近はっきりしてきた事が三つあります。

1、セクシーとエロの違い
2、バクチとカジノの違い
3、酒に飲まれることと酒を通してふれあうことの違い

この三つの事は、一つ踏み外すといっぺんに下品になります。1→セクシーで素敵な女性やダンディーな男性に憧れますよね。2→ドイツ「バーデンバーデン」やイギリスのカジノではお金の嫌らしさを感じません。3→酒を飲んで憂さ晴らしをしたり異性をからかったりするのは醜いですが、お酒を通して楽しい人間関係を作ることは素晴らしいことですよね。何故そんな事を考えるようになったかと言うと、その三つの基準をポール・ラッシュ先生が持っていたような気がするのです。そして、それらを素敵に磨き上げるためにポール先生は芸術やスポーツをうまく利用していたのだと気がついたのです。

 そして、すべての人が生れてきて良かった、人生がおもしろくて充実している、自分自身が一番好きで、生れ代われるのならまた自分になりたいと思えるような社会になる事がとっても大事な事だと思うのです。私は開拓の時代の貧しさを知っていますし、オルゴールをコレクションした中で世界の大富豪とも出会いました。貧しい人もお金持ちもみんな平等に死というゴールに向かって生きています。そんな中で「人生の勝利者」とは人生の中でいかに感動という出来事に出会う事だと思うようになりました。今、萌木の村が進めているポール・スミザーさんの庭作りはまさに感動を作っているところです。今私は最高にワクワクしています。今年で4年目を迎えますが、春になると4年目の庭、3年目の庭、2年目の庭がいっせいに芽を吹きはじめます。こつこつ一日一日、日々の作業があったからこそ仲間と感動を共有できるのです。厳寒の中、現場のリーダー輿水さんとスタッフ達は毎日雪の中でも石積みの作業をしてくれました。周りから見ているとこんな冬の雪の中ここまでしなくてもと思う人もいるようですが、私達はそんな厳しい中でも楽しくて仕方ないのです。今やっている事が今年の春、10年後、100年後、1000年後どんなに美しく育っていくかと思うと毎日いてもたってもいられないのです。そして美しい山野草ガーデンに囲まれた中でフィールドバレエを開催し、皆さんにどんな感動をプレゼントできるのか想像するだけで今からワクワクしているのです。
上次さんの気持ち
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