この大雪は私の知る限り、清里では初めての事でした。"陸の孤島"という言葉が正にあてはまる状態でした。皆さんからご心配や励ましのお言葉をたくさんいただき、このような時一番大事なのは人の言葉だと、つくづく思いました。
さて、そんな大雪の中でもホテルのレストラン改装工事は再開され、一歩一歩、前と進んでいます。私の萌木の村は永坂先生という甲府市にお住まいの設計の先生との出会いからスタートしています。その先生のご紹介で最初はロックを建てました。43年前です。次にホテル「ハット・ウォールデン」の建設を、長野県でリゾートホテル等で実績のある北野建設にお願いします。ニューヨークに「ホテル キタノ」というホテルを持っていたという事も、その会社にお願いする大きな要因になりました。
その後、一人の若い大工さんに出会います。堀内正人さん。希望に満ちあふれた若者でした。独り立ちしたばっかりの彼に、今の自然木工房ONO(当時はメリーマック)の建物を作ってもらいます。そして私はその仕事ぶりと彼の人間性に惚れ込み、一緒に萌木の村の計画を進めていきます。
そんな彼ですから、若い腕の良い大工さんたちが彼の元に集まって来ます。守さん、ヘイちゃん、末吉さん(以下末さん)、池さん、この人たちは今それぞれ独立して、皆それぞれに刺激し合いながら質の高い仕事をしています。
その中の一人、末さんという大工さんは棟梁(
建築工房ゆほびわ)としてバレエ教室、ホール・オブ・ホールズ等を作ってきました。根性が人一倍で負けず嫌い、ともかく仕事好き。彼のエピソードは山ほどあります。そんな彼が独立して良い仕事はするのですが、いつも頑張り過ぎるので儲からないという事がありました。そのために苦労をしたことも、大きな苦難にあったことも。そんな中でも、末の腕の良さ、その仕事ぶりに憧れ大工を目指す若者たちが集まって来ました。彼らの作る家は年々質が上がり、依頼者からは本当に感謝されるようになって、それが口コミで広がっていき、今では八ヶ岳で一番質の高い良い家を作る集団と言われるようになりました。
その集団「ゆほびわ」に今回のホテル改修をお願いしたのですが、私が思っていた以上に、彼らの腕は上がっていました。本当に一人一人が凄い腕になっておりました。私は今まで萌木の村を作ってきたので、建築については相当わかります。今、間違い無く木造建築では最高でしょう。そして今回現場を見ているのですが、本当に凄い腕です。多分皆さんも3月23日以降ホテルのレストランを訪れていただいた時に、その違いを見て下さい。ビフォー・アフターのテレビ番組に出せば良かったと思います。
大工工事がパーフェクトだと、左官屋さん、塗装屋さん、電気屋さん、全ての皆さんがベースの仕事の質に合わせて全てが丁寧でパーフェクトな仕事になっていきます。私たちホテルのスタッフもこんな器を作ってくれるのだから、もっと良いサービスをしなければと思い、勉強してくれております。特にチーフの塚田さんは八ヶ岳、軽井沢へ食べ歩きをしていろいろと考えてくれております。
地域とは、そこに住んでいる人の中で、少しでも頑張る人がいると波がおきるのですね。私たちもこれから清里・八ヶ岳という所が良くなるために「ゆほびわの皆さん」のような役割が出来るよう頑張りたいと思います。そして私・舩木も皆さんが元気になる事が出来るような役割の人間になりたいと思いました。