北杜市はアルコール文化において、世界レベルで見てもすごいところです。ウィスキーにおいては、森に包まれ世界一美しく、蒸留の品質・規模も世界一のサントリー白州蒸留所があります。日本酒は、酒蔵が4つもあります。ワインでは「PEN」という雑誌で「日本が世界に誇るべき100人」の中の一人に取り上げられた岡本英史さんや、世界で活躍する女性醸造家・中央葡萄酒の三澤彩奈さんがいらっしゃいます。そして我々萌木の村がつくるビールは皆様の支えがあり、今まで数々のコンクールにおいて日本一に選ばれてきました。昨年、念願のアジアNO1をいただき、多くの方に喜んでいただきましたが、この度、2015インターナショナルビアカップ(IBC)において、「プレミアムロックボック」がトラディショナルジャーマンスタイルボック部門で金賞、「ピルスナー」がジャーマンスタイルピルスナー部門で銅賞を受賞しました。ビール専門雑誌「ビア&パブ」で記事になり「日本のクラフトビールにとって快挙だ」と賞賛され紹介されました。
北杜市にはこのように世界レベルのお酒を造り出す素晴らしい環境があるのです。こんな場所は世界でここだけでしょう。この地こそアルコール文化の発信基地です。G7などの世界会議やアジアの会議でも重要な会議のレセプションにおいては、お酒のことが必ず話題になります。お酒の席で実は大事なことが決まるのです。私達はこの地をそんなお酒文化の発信基地にしていきたいと願っています。ではなぜそんな素晴らしいお酒が生み出されるのかというと、それは水が素晴らしいからです。八ヶ岳、南アルプス、秩父連山に囲まれた世界一の自然環境なのです。この地の最大の宝物です。
私達がこの地で生きていくうえで大切なことは、この宝物を大事に守りそこに寄り添うように生きていくということです。この地で生きていく人達の責任とは、この財産を守り育てていくことです。新年を迎えるにあたって、もう一度そのことを意識し、自覚し、思考し、あらゆる難題に直面しても的確に判断していただきたいのです。住人一人一人が誇りを持っていただきたいのです。みんなが考え方を共有すれば夢は実現します。世界中から「一度は行ってみたい場所」「いつか住んでみたい街」になるはずです。かつてポール・ラッシュ先生が清里を日本の農村のモデルケースとした事業の考え方と同じです。延長線上の考え方にたてばよいのです。私はその考え方がこの北杜市の哲学であって欲しいと願わずにはいられません。
萌木の村は、ポール・スミザーさんとの庭造りが4年目に入りました。現在も進行中です。自然の庭造りは見た目が変わっただけではありません。昨年の夏から秋には今まで見たこともなかった蝶「アサギマダラ」が生息していたのです。そうです!夏は標高1,400mの高地に生息し冬は台湾や中国の南部の温暖な国まで渡るあの蝶です。そして野鳥も数が増えています。生態系の連鎖が良い方向に変化しているのです。
今年で27回目を迎える清里フィールドバレエはこのような素敵な山野草ガーデンの中の特設ステージで開催されます。整備されてきた美しい環境の中で繰り広げられる野外バレエのステージも今年は大きく飛躍しそうです。世界的なバレリーナ、ニーナ・アナニアシヴィリさんがゲストとしてステージに立って下さいます。「こんな素敵な舞台ならたってもいい、踊りたい」と言ってくださったのです。フィールドバレエは世界の舞姫にも認めてもらえたのです。
私は思うのです。未来の人たちに財産を残すことは、「何をやるか」ということより前に、財産が何かを自覚し、それを残すために「何をしてはいけないのか」ということを住人すべてに共通認識させることが大事だと。美味しい水、空気、美しい景観、そして何よりそこに住む人々の美しい心、我々が住む北杜の地は世界一素晴らしいふる里です。