マンスリー上次さん9月号
TOPICS | 18.09.01
7月の後半から8月の上旬にかけて第29回清里フィールドバレエが開催された。私が39歳の時に今村博明先生、川口ゆり子先生と共に始めた野外バレエ公演。清里にしっかりとした文化を育てたい、子供達に感動を知ってもらいたい、地域を活性化させたい、等々のいろいろな想いからスタートした。29年間、本当によく続けてこれたと思う。皆様に支えていただいたおかげだ。
しかし、これからこの文化をどう繋げていくかという大きな課題が私達の前に立ちふさがっている。清里という場所、野外という条件、今という時代、29年前とは大きく状況は変わった。今、本当の意味での分岐点。新しい時代にどう我々が求められる物を提供していけるかが問われている。萌木の村もまた同じだ。
最近の自分自身を分析すると、知識を増やし経験を積み重ねてきたが、老朽化した水道管のようにサビがこびり付いてきた。そのサビは自分自身では付いていることさえ気づかない。人に指摘をされはじめてこびり付いていることに気づく。例えば、40年前には価値があり大事だと思った事や物が、今ではその時の価値はなく、今はどうなのかという時代にあった物や事の価値を読み取る力が弱くなっていると思う。そのために、見きわめる力が失われ、判断に間違いが生じる。手紙や新聞を大切にする私、でも時代は違ってきている。芸術に対しても考え方が変わってきているのだろう。
私のサビ付いた部分を封印し、積み重ねた知識と経験の良い部分だけを利用するような役割が、今の私が活きる生き方ではないのかと思う。ポール先生が今、私を見ていたら何と語りかけてくるのかと考える。「Do you are best and it must be first classm.」
今の時代、何をする事がBESTなのか?一流とは不変な物なのか?私にとって一流と思える物でも、他の人にとっては全く価値のない物であったりする。
私のこだわってやってきた物の中に、毎年1回「イヤープレート(*1)」という絵皿を作ってきた。これは一流の芸術家や大倉陶園(*2)の熟練の職人など多くの方々と関わり作ってきたが、そういった物の価値の説明を充分にしてこかった。このような事がたくさん私にはある。これから整理し、次の時代の宝物を生かしていくために考えていかなくはならないと思う。
(*1)イヤープレート
毎年限定生産される陶磁器の絵皿です。 クリスマスプレートとも呼ばれ、記念品やコレクションとして世界各地で愛されています。
マイセンやヘレンドといった世界の名陶が毎年作っている。π
(*2)大倉陶園
大倉陶園 (おおくらとうえん、)は「良きが上にも良きものを」という大倉孫兵衛・和親父子の理念のもと、1919年東京市蒲田区(現・大田区)に創業。 同社の製品は、「セーブルのブルー、オークラのホワイト」という言葉で賞賛され、「色の白さ、磁器質の硬さ、肌のなめらかさ」は他の追随を許さず、日本における最高級の洋食器と賞されるほど高い評価を得ている。
美術工芸品のように伝統技法を施した製品は皇室御用達を賜るなど、まさに「日本における最高の洋食器」と高い評価を得ています。 伝統的な呉須の染付や、ヨーロッパから取り入れた各種技法を用いて、鑑賞価値の高い高級磁器を製造することを得意としています。皇太子明仁親王と同妃美智子の成婚時には晩餐会の食器を納め、以後も日本の皇室御用達窯となっている。
※私の作っているイヤープレートは技術的にも世界で一番難しい技法で作られたものです。