マンスリー上次さん2月号
TOPICS | 20.02.01
またひとつ北杜市が世界に誇れる大きな宝物があることを知りました。それは北杜市に住んでいる“人”ですが一般的にはあまり知られていない人です。地元の人たちもその方が住人であることは知っていても、その方の世界的評価はほとんど知らないのです。普段は地域の役割をこなし、ひとりの住人としての責任を果たしています。
今、世界のリーダー達は政治的にも経済的にも環境的にも待ったなしで責任が問われています。人間は時間的存在だからです。現在は未来と繋がっていて、未来と繋がるのであれば未来に責任を持たなければなりません。それは未来を見据えて今をどう考え行動するかということです。その答えがわからず多くのリーダー達が迷っているのです。現代のこの状況は、かつて東ローマ帝国がトルコの軍事的侵攻の前に崩壊した時代に似ていると言う人たちが多くいます。この時代にひとりの思想家が現れたのです。ニコラウス・クザーヌスという人です。600年経った現代においても必要な思想だと考えられ、世界中でクザーヌスの研究ブームが起きています。「さまよう羊の中には善意の子羊もいる」今リーダーを目指す人達がクザーヌスの思想から何かを学ぼうとした時に頼るのが、クザーヌスの研究者としての第一人者・八巻和彦先生です。八巻先生は世界中のクザーヌス研究者から求められ、特にドイツ・アメリカを中心に日々活動しています。
未来に責任を持つということがリーダーの条件だと思います。そういうリーダーたる人達は常に何かを求め続け勉強しつづけています。しかし、文章で理解できることには限界があり100%を満たしていないので、“権威”と言われる人に会って話を聞いて質問してやっと理解は深まるのです。世界中のクヌーザス研究者が一度はお会いしたいと思っている人が八巻和彦先生なのです。そんな人がすぐ隣に住んでいる。なんとすごいことなのでしょう。
八巻和彦先生は話の中で八ヶ岳の自然からも学んだとおっしゃっています。私たち八ヶ岳の麓で暮らす人は八ヶ岳の自然の中で生かされているのですから、ほんの少しその意味を考え未来に対して責任があるということを意識する必要があるのではないでしょうか。クザーヌスのことを書いた八巻和彦先生の本を読んで私はそう考えるようになりました。私には先生の本は難しい、全部が理解できない、おぼろげです。しかし、私の頭の中ではポール・ラッシュ先生の生き方が重なるのです。本当に凄い人は普段は普通の人なのですね。
八巻先生の著書は楽に読める本ではありません。本当に難しい。言葉も理解できないし言われていることも私の能力ではわかりません。それでも読んでいて面白い、ワクワクするのです。こんな気分は初めてです。皆さんもチャレンジしてみてください。そして同じ地域に住んでいる方はそんな人と一緒に住んで生活していることに誇りを感じてください。違う地域に住む人は「クザーヌスの研究家の第一人者が日本人であることは、オリンピックで日本人が金メダルをとったのと同じようなもの」と考え。やはり誇りにしてください。みんなで都合よく八巻先生を自分の宝物にしてしまいましょう。
萌木の村村長 舩木 上次