マンスリー上次さん 7月号
TOPICS | 21.07.01
私が子供の頃に住んでいた清里の家の周りはすずらん畑のようでした。野の花がいたるところに咲いていてそれが普通だと思っていました。ロックを始めた頃、お客様に花束をプレゼントするためにバケツを持ってジープで花を採りに行きました。15分も採ればバケツいっぱいに。そしてその景色は少しずつ変わり、今は殆ど目にすることはできません。今、萌木の村にはその頃の景色が戻ってきました。
10年前にポール・スミザーさんと出会い、今までの庭造りではなくこの清里だけのナチュラルな庭を作ろうという話をして始まりました。その方法は地元のものを大切に利用し地道に積み上げていく方法でした。八ヶ岳の原野開拓で出た邪魔者の石たちを地域の宝ものとして考え、石積みの材料としてこだわって使っています。私の友人の輿水さんがひとつひとつ、コツコツと4,000トンの石を積み上げガーデンのベースを築いてくれました。そこに700種を超える山野草たちが植え込まれています。気付けば「あれ?!」子供の頃に見たあの景色なのです。蝶が舞い、小鳥がさえずり、躍動感あふれる生き物が元気に生活している場所になりました。(園芸家のカーメン君がユーチューブで萌木の村を紹介していますので見てください)(ポール・スミザーさんがいくつもの本を出版してくれています。ポケットブックの「ナチュラルガーデンウォーク夏〜初夏」ガーデンルームス著、「ポール・スミザーのこれからの庭」主婦の友社刊など出版されています。特に後者は萌木の村のガーデンづくりの哲学も書いてあります。)
萌木の村のガーデンで守り育てられた山野草がいつか、手入れされた清里・八ヶ岳の森に戻っていき、私が子供だった頃のあの風景を取り戻してくれたら嬉しいな、とひとりで思うこの頃です。しかし10年コツコツとやり続けると、1日1日はほとんど変わらないのに、1年1年で少しずつ変わり、10年経つとまるで違う世界が作れるのですね。そんなナチュラルガーデンMOEGIに足を運んでください。その中で私達は今働いています。
最近思うことは五感で今までに経験したこと以外は理解できないということです。私は子供の頃、父が開拓する姿を見ながら、そしてあの美しい景色を身近で見て育ったので今の感動があるのです。その中で育てられたことに感謝する毎日です。だから我々の責任として、もっともっと素敵な萌木の村にしたいと思うのです。どうか皆さん力を貸してください。この景観と環境を守っていくには、強い思いと手間と時間と経済的なサポートが必要です。これからこの宝物を守って育てていく方法を考える時に来ました。このガーデンには宝物がいっぱいあります。それを活かすアイディアが必要です。我々はこのガーデンを活かす集団になりたいと思います。
そんな自然の中で清里フィールドバレエが32回目を迎えます。すべてが整ってきた今こそ新しい価値を作りたいと思います。
令和3年7月 萌木の村村長