マンスリー上次さん3月号

TOPICS | 22.03.01

今回のロシアによるウクライナ侵攻事件は、多くの方がなぜこんなことが起こるのかと想像することはあっても、きっと起こらないと思っていたのではないでしょうか？！原子爆弾のことまで口をついて出ていますが、持っていても使ってはいけない、使った時は人類の終わりだと思っています。しかしその可能性だって示唆されてきていて、私たちは何をすれば良いか考えさせられます。

私が尊敬する恩人・Mさんから教わったことがあります。「舩木君、沖縄の人達と本土に住む人達の戦争に対する感情は違うんだよ」「アジアの人たちの反日感情が強いのはどうしてだ？！」「日本は本土空襲で日本中焼け野原にされて、さらに広島と長崎に原爆まで落とされて、多くの犠牲者を出した。なのに今、我々の中に反米感情はそこまで強くない。（もちろんGHQの戦後政策や教育の影響もあると思う）目の前で親兄弟子供が殺され虐待を受けたことは違うことなんだよ」と言われました。大事な人が目の前で虐殺されたり暴行を加えられ、それを見て体験して生き残った人の心には、決して消えることのない気持ちが残るということでした。

また、終戦間際シベリアで捕虜になり、強制労働と拷問を受け、そこから生き残って帰り、清里でペンションを経営していた方がいらっしゃいました。その方からは多くのことを学びましたが、シベリア抑留の話になると大変感情的になりました。私も含め経験のない人にはその感情は理解しづらいでしょう。全ては経験して体験して自分の中で熟成され人間として価値観や判断力が養われていくのでしょうが、この平和で恵まれた日本の中で育ちそのような厳しい経験のない人達にはわからないことばかりなのではないでしょうか。私が子供の頃経験した開拓時代の話を今の若者に話しても理解できないのと同じです。パレスチナとイスラエルの対立の歴史を話したときも「舩木君、生まれた時からずっと対立していて、日常的にテロが起こり身近で人が死んでいく世界では、生と死が背中あわせであることが当たり前なんだよ」と言われました。私は、日本は平和ボケしていると思います。

人間は自然の原理に逆らって自分に都合よく生きてきた結果として、今の矛盾の中で多くの対立まで生んできてしまったような気がします。私にはまだまだ答えは闇の中ですが、ひとりひとりが自分で考える、自立して自分作りをするときだと思うのです。つくづく人間は愚かだと思う、今日ある姿はすべて、ひとりひとりの責任の結果だと思うのです。

令和4年3月1日
萌木の村村長　舩木上次