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マンスリー上次さん11月号

TOPICS | 21.11.01

清里は急に寒くなりました。短い秋を通り越して初冬へと変わり始めました。木の葉が落ち、その木の葉を掃除して集め野積みにします。すると微生物がその葉っぱを食べ増殖し発酵させます。それが自然に戻り木や山野草のエネルギーに変わっていくのです。本当に自然とはうまくできていますね。そこに人間が関わるとおかしなことが起こってしまいます。昔は小さな変なことだったのですが、今は大きな変なことになるから厄介です。

私達のように清里の自然の中で生活していると、自然から学ぶことばかりです。旅は学びです。萌木の村に来てください。自然の中で何かを感じてください。

先日こんな文章を書きました、読んでください。

 

「ナチュラルガーデンへの経緯とその意義」

 

萌木の村のナチュラルガーデンを散策すると、私が子供の頃の美しい清里の原風景がなつかしく思い起こされます。物質的には決して豊かではなかったけれど、数々の美しい、楽しかった思い出とともに。

 

清里に当たり前にあった豊かな自然は、当たり前がゆえに私たちは価値があるとは気づきませんでした。そして、高度経済成長期、清里観光ブームを生き抜き、便利さや効率、物質的な豊かさを追求していく中で、草原や林縁を美しく彩っていた野草の姿も激減していきました。

 

1990年代に日本にガーデニングブームが起こると、雑誌でもてはやされていたバラ園やハーブガーデンこそが庭づくりだと思い、取り組んでいきました。どの庭も完成時はよかったのですが、高原の厳しい自然の中では、枯れてしまう植物も多く、維持していくのが難しい。そこで、また別の庭を造る。そんなことを30年も繰り返していました。よかれと思って土を耕し、枕木を並べ、肥料をやり、消毒をして、、、結局それが、小さな生きものたち、そして土壌の生物や微生物にダメージを与えていたのに気づいたのは、ずっと後のことでした。

 

人は人との関わりの中で生きていきます。しかしよく考えると地球上のあらゆる命とも関わり、共に支えあって生きています。科学や技術の発展でもっともっと幸福になると、私たちは錯覚していました。そんなことを気づかせてくれたポール・スミザーさんの指導の元、新しい庭づくりが10年前に始まりました。そして今では、萌木の村全体がガーデンとして楽しんでいただけるまでになりました。

 

ポール・スミザーさんは風土や環境条件にあう植物や材料を使うことを基本に、完全無農薬で、人にも自然生態系にもやさしい持続可能な庭づくりを徹底して行っています。ホテル前の「八ヶ岳メドウガーデン」には八ヶ岳原産の貴重な野草が咲き乱れ、お客様を楽しませると同時に野草を絶やさないためのシードバンクとしての働きも担っています。

 

土はやさしく植物を育み、虫たちが、そして蝶たちが舞い、小鳥がさえずり、新しい命を生み、育てています。すべての生きものにとって最高の場所。それは同時に、人間とっても最高の癒しの場所になっているのです。そんな環境の中で仕事ができる私たちはこれからどう生きるべきなのか?私たちは新しい挑戦を始め、ポール・ラッシュ先生が夢を見た未来を目指して開拓者2世として新しい時代を切り開いていこうと思っています。

 

 

萌木の村村長

舩木 上次