マンスリー上次さん5月号
TOPICS | 22.05.01
萌木の村の庭づくりはかれこれ40年にもなるが、最初の30年は普通の庭づくりだった。それが今から10年前、ポール・スミザーさんに出会ってからは、今までの庭づくりから180度違う庭づくりになった。彼の庭づくりは農薬や化学肥料をいっさい使わず、人が豊かにそして安心して暮らせる場所づくりであった。
私には最初理解ができなかった。30年もの間、それなりに勉強して実践してきただけに自分ではセミプロのような意識があった。思い込んでいるということは怖いことだ。何も知らなければ素直に受け入れられることなのに、なまじ知っている、それも園芸のプロの方々とやってきているわけだから、微生物や虫たちと共に自然環境や土壌環境を生かして微生物によって庭を作るなどとは夢物語であった。だって今までは戦ってきた相手である。除草剤を撒き殺虫剤で虫を殺しながら庭づくりをしてきた私には、受け入れるまで時間が必要であった。
そして10年たった現在、当時とは全く反対のことを言っている自分である。この地・八ヶ岳の山野草に囲まれて、蝶が飛び交い小鳥が囀り、土の中には微生物が元気に生きている庭に育った。人間だけではなく全ての生き物たちが、縦糸・横糸が織りなすように結び合って共に助け合い生きている庭である。この庭の中では我々は多くの生き物の中のひとつでしかない。
そんな中でロシアによるウクライナへの侵攻が始まった。それを聞き・見るたびに人間の愚かさに寂しさを感じる。こんな時こそ自然から学べ!と言いたい。共に生きる術がかならずどこかにあるはずだ。萌木の村の庭づくりに答えがあるように思える。壁にぶつかったり問題に悩むことがあれば、この庭の中で自然と向き合いながら、何が正しいのか、自分はどう生きるべきか考えてほしいと思う。
“ナチュラルガーデンズMOEGI” 本当に素晴らしいガーデンになった。