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マンスリー上次さん9月号

TOPICS | 22.09.01

ちょうど、この原稿を書くタイミングでニュースが届き、驚かされると同時に、とても残念だと思っています。ご存知だとは思いますが、京セラの創業者であり、日本航空の経営立て直しに尽力された稲盛和夫さんが亡くなられました。実は、稲森さんには、お目にかかったことがあります。共通の知人である、ハリウッド美容専門学校の山中祥弘理事長が、稲盛さんの勉強会を企画されていて、私も、何回か参加させていただいたからです。稲森さんは鹿児島、山中さんは宮崎の出身なのですが、勉強会は、それぞれの地域を出身された在京政財界の方々とか、同じ出身地である、20歳代、30歳代の若い方たちを育てるためのものでもありました。

 

最初に、稲盛さんがお話しをされ、ゲストが続き、その後は、若い方たちが、先輩方と自由に交流をするという、まったく堅苦しくない勉強会でした。しかし、こうした方法で、“若い人たちを育てていくのだな”、と感心した記憶があります。当然ですが、会では、わがタッチダウンビールを飲んでもらいました。

 

私自身も、20代とか、30代の頃、社会的に地位のある先輩方が、応援し、支えてくださいました。そのような方々の応援があったおかげで、正直、厳しい時、苦しい時を耐え、乗り越えることができたのだと思っています。山中さん企画の稲森さんを囲む会は、人と人とのコネクションを大切にする会という意味で、“芋づるの会”という名称でした。会に参加した若者たちは、あの稲盛さん自身に声をかけられ、語り合った経験こそが、きっと社会に出てから大きな役割を果たしたのではないか、と想像しています。そして、その経験があったからこそ、稲盛さんと同じように、次の世代の若者たちへとタスキを渡していってくれるのだと実感しています。私自身、あのハリウッドプラザでの“芋づるの会”を、まるで昨日のことのように鮮明に思い出しています。

 

人間として大切である、というテーマを、稲盛さんは、たくさん話してくださいました。人のため、社会のために謙虚であれ、前向きであれ、と若い人たちに話しかけていました。同じ言葉でも、私が話すのと、稲盛さんが話すのとでは重みが違います。同じように、ただ稲森さんの著書を読むのと、直接、お目にかかり、本人の口から発せられた肉声を聞くのとでは、まったくインパクトが違います。稲盛さんの言葉は、心に深く刻まれていきます。

 

若い時代に、どれだけ素敵な人に出会うことができるか、ということで、その後の人生に大きな影響があると思っています。若者たちは、できるだけ素敵な先輩に出会うべきですし、私も、若者たちから“素敵な先輩”ですね、と呼ばれるようになりたいと思っています。ただ、残念ながら、稲盛さんのような素敵な先輩たちがどんどん少なくなっています。清里も、まったく同じです。もう一度、初心をしっかりと確認し、“素敵な先輩”と呼ばれるようにならなければいけない、と強く認識した次第です。

 

改めまして、ご冥福をお祈りいたします。

令和4年9月1日
萌木の村村長 舩木 上次