マンスリー上次さん 11月号
TOPICS | 17.11.01
最近、私の中ではっきりしたことがあります。山梨はワイン、ビール、日本酒、ウイスキーと各種のお酒を作っています。それぞれが東京を始めとする都会や、海外に向けてプロモーションしています。私がこれから始めたいことは、清里をそれらお酒の情報発信基地にしていくことです。造られた最高のものが、ここで飲まれ、ここで販売され、まず地元でなければ手に入らないという環境づくりをしたいのです。そのためには、それに見合う飲む場所と、知識と技術を備えたスタッフを整えていくことが必要だと思います。今はお酒の造り手だけがプロフェッショナル。飲む場所もお酒の売り手もまだまだです。私の目標はポール先生が愛した、お酒を通して築きあげる地域社会です。厳しくても楽しい、清里の夢を語り合う開拓者とすごす時間と空間でした。その現代版をこの地で実現させたいという気持ちが、ふつふつとわいてきたのです。
萌木の村ロックの「タッチダウンビール」は2015年、2016年とインターナショナルビアカップ、ワールドビアアワードのビールコンクールにおいて、世界一のタイトルを獲得しました。そして2017年もIBC(インターナショナルビアカップ)において Weiss Beer部門で「タッチダウンビール・ヴァイス」が世界1位になりました。そのことが「ジャパン・ビア・タイムズNO.32」という雑誌で特集されました。ロックの醸造部門の松岡始め若い醸造スタッフは、恩師山田一巳さんの教えを忠実に守り着実に成長しているなと誇りに思います。皆、燃えています。
三年前 清里フィールドバレエの25回を記念したウィスキーは、サントリーのチーフブレンダー・輿水精一氏が手がけ、日本の過去10年間に造られたウィスキーの頂点となり、大変な話題になりました。この度、四回目の記念ウィスキー(清里フィールドバレエ28周年記念ボトル)をリリースしました。このウィスキーは埼玉県にある「イチローズモルト」の肥土(あくと)伊知郎さんの作品です。そのウィスキーがウィスキー専門雑誌「ウィスキーガロアVOL5」のティスティングコーナーで取り上げられ、「驚くほどリッチでフルーティ」とコメントされています。総合評価で今回出展の中で一番高い評価をいただきました。また、清里開拓の父ポールラッシュ生誕120周年を記念して、ポール先生の生まれ故郷ケンタッキー州ルイビルの「メカーズマーク」に依頼して、バーボンウィスキーをつくりました。そのバーボンも同時にテイスティングされました。そして何と「清里フィールドバレエ28周年記念ボトル」に次いで2番目に高い評価を受けたのです。
私はまったくお酒が飲めない下戸ですが、お酒をテーマにこの地域の村作りをしたいと考えています。美味しいお酒を味わって飲んでいる人達と一緒にいる時間が楽しくて仕方ありません。そしてそんな時間と空間が自分のためになる素敵な宝物のような気がし始めました。素敵にお酒を飲むということは、お酒を味わう、見極めるというのでしょうか、酔う為ではなくお酒から何かを探り出すという感覚です。それができる人は何か特別な能力を持っているはずです。お酒だけではなくその人の仕事はきっと奥深いはずです。だからそのような人達と一緒にいるときは学ぶことばかり。いい酒を造れば造るほど、奥深い素敵な人達が集まってくれるということに気づき始めました。だからもっともっと見えない最高の物を求めていきたいと思います。