『夏の名残のバラ』
TOPICS | 18.04.19
ホールオブホールズ学芸員の川乃さちこです。
本日の清里は快晴。
とても清々しくゆったりとした時間が流れています。
さて、今日はオルゴールや自動演奏楽器とたいへん深い関わりのある音楽のお話をひとつご紹介いたします。
『夏の名残のバラ』
この曲は1880年頃から1900年頃までに作られていたシリンダーオルゴールやディスクオルゴールによく収録されています。
もともとはアイルランド民謡で歌詞はアイルランドの詩人トーマスムーアが書いた詩です。
人気がでたのはドイツのフロトー作曲オペラ「マルタ」で使われてからだと思われます。
初演は1847年。
1700年代のイギリスが舞台の作品です。
女王の女官である貴族の娘のハリエットが、退屈な宮廷の生活をいたずら心から逃げ出して田舎娘マルタと名乗り、農場の女中として雇われ、農夫と恋に落ち……、という内容でコミカルでロマンティックなオペラとして上演されました。
マルタが劇中歌うのがこのアイルランド民謡の「夏の名残のバラ」このオペラのテーマ曲となりました。ドイツ語で上演されているオペラですので劇中ではドイツ語で歌われています。
日本では明治時代に翻訳されて唱歌として歌われました。
当初はバラは馴染みが薄かったのか「菊」というタイトルで、歌詞も夏の名残というよりは晩秋のイメージで「庭の千草も虫の音も枯れて寂しくなりにけり」という歌詞にはじまりサビには「ああ、白菊よ」と続きます。
この冒頭の「庭の千草」がいつしか曲のタイトルになったということです。
アンティークオルゴールでは当時流行していたオペラやオペレッタで歌われていた曲が多く演奏できます。
劇場で聴いた歌を家庭で、またレストランやパブで思い出しながらオルゴールの音色で楽しんだというわけですね。
当館ではそんな時代のアンティークオルゴールの音色をお楽しみいただけます。
GW前の清里はゆったりと贅沢な時間をお過ごしいただけます。
皆様のご来館を心よりお待ちしております。