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最近、大人気の自動演奏楽器

TOPICS | 18.04.23

ホールオブホールズ学芸員の川乃さちこです。

当館では、展示品の解説付き実演をコンサートという形で1日に数回行なっています。
なかでもクラシック音楽ファンの方々が特に興味を持たれる展示品があります。
1日に何度もその楽器の自動演奏を聴きたい、できればソフト(ロールペーパー)の在庫を全部聴いてみたい、その楽器だけの演奏会を開いて欲しい、そんな声もちらほら。

それほどコアなファンを魅了しているのはこちら

「チッカリング9フィートアンピコグランドピアノ」

この自動演奏ピアノは、1926年、アメリカ、チッカリング社製のフルコンサートグランドピアノに自動演奏楽器メーカーのアンピコ社が自動演奏装置を取り付け、デモンストレーション用に特別に製作、全米を演奏旅行したという自動演奏ピアノです。ピアニストの演奏を記録する方法で作られたロールペーパーには、な、な、なんとラフマニノフやラヴェル、ガーシュインなどの作曲家の自作自演のものが残されているのです!
当時、再生される音が実際の音とはほど遠いレコードなどでは伝わらなかった細部にまでこだわる表現が音で残せる、当時の最新技術に作曲家やピアニストたちも注目したに違いないと思われます。
時を超え、世紀の大作曲家そしてピアニストの生演奏が聴ける!

そして、個人的に大注目しているのは若き日のグレングールド(わたくし大好きなピアニスト)が愛用したのがこのチッカリング社のピアノだったというところ。あーわかる、この鍵盤の軽いタッチ(実際に触れるというスタッフの特権を乱用)、そしてこの音、グールドっぽいと納得してしまいました。
グレングールドももう少し前に生まれていたら、きっとロールペーパーに自分の演奏を残したに違いないと思いましたが、時代は流れ彼の演奏は最先端だったデジタル録音で残っているというわけで、この先50年、100年先、楽譜だけで伝えていくのは難しい音そして音楽はどういう形で残されるのか、ハイレゾの次はなんだろう?そんなこともぼんやりと考えたり。

さて、本日はマリンバ奏者の大森たつしさんが送る「音楽家とオルゴールの世界」。ラフマニノフが弾くリムスキーコルサコフの「熊蜂の飛行」とマリンバの超絶早弾き対決が見られるかも!
11時15分開演です!!

どうです?だんだん聴きたくなってきたでしょ?

夏日でも涼しい清里で皆様のお越しを心よりお待ちしております。

(画像はチッカリング9フィートアンピコグランドピアノとなかなか見ることないピアノの下部に付けられた自動演奏のための機械です。)

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