Magazine

萌木の村マガジン

マンスリー上次さん 2025.3月号

2025

Mar

01

社長コラム

  2月27日(木)、萌木の村とガーデンルームスが管理する「ナチュラルガーデンズMOEGI」が、環境省が規定する「自然共生サイト」に認定された(※)。山梨県では4例目の認定になる。年間50万人のお客様が訪れる萌木の村の敷地が、植物や昆虫や鳥類さらに地中微生物まで、豊かに共存していることが認められたと自負している。経済活動ばかりが優先されがちな社会だが、本来のいち生命としての人間を見つめ直し、かつ地球規模の環境に結びついているという自覚を持つことが求められていると思う。

 (※)認定発表ページ:https://www.env.go.jp/press/press_04456.html

  先日、若いテレビディレクターと話をした。私の幼少期の話だ。私は現代とは大きく違うモノのない開拓時代の話をリアルにしたつもりだった。私の頭の中で思い出している風景や当時の生活は、私を見て感じるイメージと大きく食い違っているようだった。彼は最後に、その当時の写真を提供して欲しいと私に言った。自然も環境も昔とそれほど変わらないと思っているようであった。開拓時代にはカメラなど持っている人はほとんどなく、写真もデータも残っていない。私からすると子供の頃の清里の自然と今の自然は別物だ。今とは比べ物にならないたくさんの山野草が咲き乱れる美しい里山だった。しかし、昔を知らない彼にはその変貌ぶりは想像できないようだった。

  それと同じようなことが農業にも起こっている。昔のトマトやきゅうりと今のものは違う。 免疫機能や生殖機能を高める成分があったかつてのトマトやきゅうりは、増産や形状を整えるために遺伝子組み換えや農薬、添加物を使うことで、かつての機能が失われてきている。今、清里は環境危機に見舞われている。 このことを今の時代しか知らない若者たちにどう伝えていったら良いのか、私にとっての最近の大きな悩みである。 伝えたつもりが 全く伝わっていないことを思い知らされる。感じないことを伝える難しさ。「腹が減った」ことは実感できるが、「機能性栄養分が足りていない」ことはなかなか実感できない。さらに有害性があっても気がつかない。

 私たちのガーデンの取り組みが、そんな現状社会への警鐘の一助となればうれしい。ナチュラルガーデンズMOEGIを歩いて「うちの庭と同じ植物なのにここの植物はやたらと元気だ」、「この庭の植物は秋になるとびっしりと種をつける」、「こんなにたくさんの蝶々が飛んでいる風景を久しぶりに見た」、「たくさんの小鳥が飛び交って雛のさえずりが聴こえる」、「昔よく見かけたトカゲやカエルがたくさんいる」、こんな光景に気がついたら、なぜなのか考えてみてほしい。

  我々はこの庭を通して自然や環境の大切さを現代の人々に教え広める役割を担ったということかもしれない。

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