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萌木の村マガジン
英国からとんでもないニュースが舞い込んだ。
英国ロイヤル・バレエ団所属の佐々木万璃子さんが12月の公演「くるみ割り人形」で、主役“金平糖の精”に抜擢されたのだ。世界3大バレエ団の一つである英国ロイヤル・バレエ団。その中で今、星になろうとしているのだ。
思い起こせば、およそ10年前、あどけなさの残る彼女に声を掛けたのが始まりだった。
彼女は幼少期、上野原市に住んでいた。清里フィールドバレエに最年少で出演していた彼女に驚き、同じ山梨県民として親しみを感じて声をかけた。真夏の夜の清里で、素敵な笑顔を輝かせて舞う彼女。お姉さまたちに必死に食らいつき、舞台の上で物怖じしない踊りを見せた。
そしてローザンヌ国際バレエコンクールに出場。バレエダンサーを志す15〜18歳の若手の登竜門である世界最高峰のコンクール。当時15歳。16歳で出場しても遅くないという意見があったが、本人の強い意志で出場。男女合わせて36ヶ国226名の中、女性では最高位の3位入賞を果たした。この時の新聞記事をみんなで喜んで読んだことを思い出す。
清里フィールドバレエで主役を務めた後に渡英。バーミンガム・ロイヤル・バレエ団を経て、英国ロイヤル・バレエ団に所属。そして今回、主役に抜擢されるという最高のプレゼントを届けてくれた。
「清里フィールドバレエでの経験が、コンクールでも物怖じしない強い心を育ててくれた。」
彼女がこう言ってくれたことを思い出す。標高1,250メートルの清里で、彼女は確かに舞ったのだ。今、清里で踊った何人ものダンサーが世界のバレエ団で活躍している。それだけで充分すごいことなのだが、今回はその中でも我々にとって最上の贈り物となった。
1990年に始まった「清里フィールドバレエ」。33年間、常に苦しく厳しい道のりであった…。だからこそ、この快挙によって全てが報われる思いさえする。
佐々木万璃子さん、おめでとう。そして、ありがとう。心から。
萌木の村村長