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萌木の村マガジン
庭を作り始めて40年
萌木の村の庭づくりは、かれこれ40年になる。最初の30年は普通の庭づくりだった。それが、今から10年前にポール・スミザーさんに出会ってからは、今までの庭づくりから180度方法が変わった。
彼の庭づくりは、農薬や化学肥料を一切使わず、人が豊かに安心して暮らせる場所づくりであった。
私は最初、理解ができなかった。30年ものあいだ、それなりに勉強して実践してきただけにセミプロのような自覚があった。思い込んでいるということは怖いことだ。何も知らなければ素直に受け入れられることなのに、なまじ知っている。それも園芸のプロとやってきているわけだ。自然環境や土壌環境を生かして、微生物によって庭を作るなんて夢物語であった。
だって今までは戦ってきた相手である。除草剤を撒き、殺虫剤で虫を殺しながら庭づくりをしてきた私には、受け入れるまで時間が必要であった。
生まれ変わった萌木の村の「庭」
そして10年経った現在、当時とは全く反対のことを言っている自分がいる。八ヶ岳の山野草に囲まれて、蝶が飛び交い小鳥が囀る。土の中には微生物が元気に生きている庭に育った。
人間だけではなく、全ての生き物たちが縦糸と横糸を織りなすように共に助け合い生きている。この庭の中では、我々は多くの生き物の中のひとつでしかない。
そんな中でロシアによるウクライナへの侵攻が始まった。それを見聞きするたびに、人間の愚かさに寂しさを感じる。「こんな時こそ自然から学べ!」と言いたい。共に生きる術が必ずどこかにあるはずだ。
壁にぶつかったり、問題に悩むことがあれば、この庭の中で自然と向き合いながら、何が正しいのか、自分はどう生きるべきか考えてほしいと思う。
“ナチュラルガーデンズMOEGI”
本当に素晴らしいガーデンになった。
萌木の村村長